投資には様々なリスクがあります。見て行きましょう。価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク、集中(分散)リスク、マクロリスク、ミクロ(個別銘柄)リスク、業界リスク、持逃げ(ストラクチャー)リスク、認可、事業開始リスク、”持たざる”リスク等です。
- 価格変動リスク:株価を例に取ると乱高下の激しい株(ハイテク系)、激しくない業界(電力、ガス等の公益企業)等がありますが、その目安としてベータが指標となります。市場インデックス(=ベータ1)、に対して何倍の動きを相対的にするかの指標となります。指標の動きと同じであれば、その個別銘柄のベータも1、1.5倍であればベータは1.5、計測期間にもよりますが、ベータは株価の価格変動の相対的な目安となります。
- 流動性リスク:売買時の目安となる価格から、実際の執行価格がどのぐらい乖離するか? 上場株式、大型株の流動性は取引高に左右されますが、流動性は良い、その両極端な例は不動産投資、投資対象次第ですが、流動性があると思ったら大いなる誤解と思ったほうが良いです。最たる例はワンルームマンション投資、これにレバレッジ(借入、ローンを組んで投資する)掛けた例は危険な例が散見されます。不動産市場の上下方向感にも左右されます。上げ相場であれば、売却は容易、下げ相場時は売却時に困難をきたすと考えるべきです。
- 信用リスク:債券投資時に借入比率の高い企業ほど、倒産確率が高くなります。信用格付け機関がAAA(トリプルA), BB(ダブルB)とかと格付けをつけたりしますが、債券価格の悪化時のスピードに格付けが追い付かないことはよくあります。上場会社の株価も倒産リスクの上昇時には下落します。株は企業債務と企業価値の差異であるため、倒産確率上昇時には当然ながら、その残余価値である株式の価値も減少します。(別コラムの不良債権投資の概略(ここに埋め込みたい!!!)に更なる詳細は載っています。このURLは埋め込み可能か?https://proport.jp/%e4%b8%8d%e8%89%af%e5%82%b5%e6%a8%a9%e6%8a%95%e8%b3%87%e3%81%ae%e6%a6%82%e7%95%a5%e3%80%80-%e3%82%ab%e3%83%86%e3%82%b4%e3%83%aa%e3%83%bc/)
- 集中(分散)リスク:投資対象への集中、時間的に一時に集中するリスク、両方あります。プロの投資家も投資ルールとして最大集中割合を全体の5%、10%と決めています。また、時間的な分散は定期的に投資資金が積立資金のように現れるのであれば自然にできますが、一時的な資金を時間を掛けて徐々に投資し、市場の上げ下げに対応することも可能です。今年4月のトランプ関税ニュース出現時、かなり保有銘柄の株価は下落しましたが、その下落局面で追加投資した場合、下落時の安価で仕入れられたことも功を奏し、直ぐに水面下から上昇、利の乗ったポートフォリオとなっているはずです。
投資対象である上場企業でも選択と集中は市場の見方により(投資家の選好)によりファッションの様に変遷します。1970代ではコングロマリット(様々な業種に横断する企業)が流行りました。複合企業のシナジー、相乗効果可能性が人気を博しました。(複合企業のシナジーを株式市場も信じ、株価が個別の同業他社比で割高になっていたケースもあったでしょう。)が、近年は分社化、日本企業でも事業ポートフォリオを日立のように戦略的に変化させ、企業価値を高めているほうが時代の波に乗っています。
市場の実態からすると、コングロマリットを克明に分析できる株式アナリストが少ない、個別セクターの分析能力は高くても他業種との複合企業の株式価格分析は容易でないことが挙げられます。少し前のオリックスの株式評価はその典型でしょう。
- マクロリスク:これは特定銘柄に限らず、一言で言うと景気循環が主因です。その他は、天災、戦争等の資本市場の内的要因とは別のマクロ的なリスクです。好景気、不景気により金利サイクルも上下(一般的に、好景気時には金利は高め、不況に向かう際、金利下降となります。金利の高低により、企業も個人もローンの活用度が変動するからです。また、金利下降局面では株式価値上昇に通常は連動します。低金利となると将来のキャッシュフローの現在価値が上昇するからです。(更なる説明は別コラム、金利の株価の関係をご参照ください。ここも埋め込みたい!!)
- ミクロ(個別銘柄)リスク:これはマクロの逆で投資対象個別の理由により投資対象の価格が上下するリスクです。個別銘柄に順次、業界(その業界固有のリスク)リスクもあります。
- 持逃げ(ストラクチャー)リスク:最後に投資対象が当初から或いは途中で窮し、持逃げ(或いは当初の目的とは違う資金使途となってしまうリスクもあります。怪しい話、最近、不動産開発で投資資金募集も5年経過も何も開発されず、資金も消えてしまったと言う話がありましたね。 バブル後のゴルフ場開発も当初集めた出資金(数十億円!?)がどこかへ消えた話はよくありました。 (最近の”みんなで大家さん”の例) 【独自】「みんなで大家さん」出資者が大阪地裁に集団提訴https://www.youtube.com/watch?v=MlaYJUC0wqI YouTube · MBS NEWS https://www.yomiuri.co.jp/local/chiba/news/20250916-OYTNT50117/ 読売新聞
ワンルームマンション投資はよく見られる投資例です。が、最悪の例はスルガ銀行も絡んだかぼちゃの馬車事件(この下線部に下記URLを埋め込みたい!)、このプロパティーエージェントの記事に説明されています。https://www.propertyagent.co.jp/contents/8267
「賃料30年保証、利回り8%」というセールストークに惹かれた投資家は社会問題にまで発展しましたが、家賃保証の保証先の信用リスク、投資対象自体の妥当性と素人投資家にはかなりハードルが高かった結果論の例でしょう。
- 認可リスク、事業開始リスク:ある事業を開始したは良いが、いつまで経っても認可が降りない、ひたすら時間だけが経過するリスク。、また、事業構想は良いがいつまで経っても事業開始しないリスクもあり得ます。
- ”持たざる”リスク: これは現状の市場環境が該当します。加熱が強し、市場はピークを打っている、天井感強し、とは言われているものの、今、売ってしまい、後で市場がさらにラリー(= 上昇)し、後悔したくないと言うリスク、冷静に半分だけ売ろうかというアクションもあり得ますが、難しいところです。逆に市場が暴落する際、そろそろ底値感強く、買いを入れようかと思うも、まだまだ、底値が下の方にある、と思え、買いを控えるリスクもあります。解決策はAll or Nothing(全買い)ではなく、数度に分けて入れていくとか、時間を分けて買いを入れるとか、”合理的?”手法もあります。
いずれにしても、機関投資家(大手投資家、他人の資金を預かって投資する組織)と、個人で自分の裁量で好き勝手に投資できる環境では違うとも言えます。個人であれば自己責任のみで好き勝手にやれますが、機関投資家は組織(機関)決定の元に規律ある行動が求められます。機関投資家の場合、損切りルール等の厳格な適用があり、これが返って、大口の売買を産み、市場の乱高下を呼ぶ、また、多数の大口機関投資家が似たような投資ルールを適用するため、乱高下が増幅されるケースもよくあります。言うは易しですが、個人投資家、或いは逆張り(コントラリアン)投資家はこれに便乗する手はあります!